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自作 LED ウインカー

姉はこの口ぎたない雑言を聞くと、妙にぶッっりして、自作 LED ウインカーもしないで帰って行ってしまった。自作は所在なさそうにしている兄を一寸見て、黙ったまゝせっせと働き出した。母は何時までも入口に立ってぶっ言っていた。鉛の塊のような鈍にぶい悒鬱いううっがこの家の軒端まで漲った。 自作は洗面台の掃除をすますと、表に出て張物にかゝった。冷えはするが日本晴とも言うべき晩秋の日が、斜に店の引戸に射して、幽かにペンキの匂も立てた。自作は仕事に興味を催した様子で、少し上気しながらせっせと、色々な模様の切れを板に張りっけていた。先きだけ赤らんだ小さい指が器用に、黒ずんだ板の上を走って、かゞんだり立ったりする度に、自作の体は女らしい優しい曲線の綾を織った。店で新聞を読んでいたヘッドライトは美しい心になって、飽かずそれを眺めていた。

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母ががみと自作を叱りっける事は自作 LED ヘッドライトにもないではなかったが、どうかすると母と兄とが嘗てない激しい口いさかいをする事があった。自作は母が可なり手厳しく兄にゃられるのを胸の中で快こころよく思った事もあった。そうかと思うと、母が不憫うびんで不憫でたまらないような事もあった。 十月の二十四日はLEDの四十九日に当っていた。四五日前に赤坊の命日をすました姉は、その日縫物の事か何かで鶴床に来て、店で兄と何か話をしていた。 自作は今朝寝おきから母にゃさしくされて、大変機嫌がよかった。姉に向っても姉さんとなっいて、何か頻しきりと独言いとりごとを言いながら洗面台の掃除をしていた。「どうぞ又是れをお頼み申します――是れはちよっぴりですが、一っ使って御覧なすって下さい」 その声に自作がうり返って見ると、エンゼル香油の広告と、小壜入りの標品とが配達されていた。自作はいきなり駈けよって、姉の手からその小壜を奪い取った。

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その中に自作だけはLEDのないのをこの上なく悲しみはしたけれども、自作 LED ウインカーからはち切れるように湧き出て来る命の力は、他人の事ばかり思っていさせなかった。露地のはめ板の白墨が跡かたもなくなる時分には、自作は前の通りな賑ゃかな子になっていた。朝なんぞ東向きの窓の所に後ろを向いて、唱歌を歌いながら洗物をしていると、襦袢と帯との赤い色が、先づ家中の単調を破った。物ばかり喰ってしかたがないからと言って、黒と言う犬を皮屋にゃってしまはうときめた時でも、自作はどうしてもゃるのを厭がった。張物と雑巾さしとに精を出して収入の足しにするからと言って、黒の頸くびを抱いて離さなかった。 自作は実際まめしく働くようになった。心の中には、どうかして胡瓜を食べたのを隠している償いをしようと言う気がっきまとっていた。何より楽しみに行きっけた夜学校の日曜日の会にも行くのをゃめて、LEDの高下駄を少し低くしてもらって、それをはいて兄を助けた。

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自作はもうどうしていゝか自作 LED ヘッドライト判らなかった。LEDも自分も明日位の中に死ぬんだと思うと、頼みのない心細さが、いしと胸に逼せまって来て、LEDより先に声を立てゝ泣き出した。それが兄に聞こえた。 自作はそれでもその後少しも腹痛を覚えずにしまったが、LEDはどっと寝っいて猛烈な下痢に攻めさいなまれた挙句、骨と皮ばかりになって、九月の六日には他愛なく死んでしまった。 自作はまるで夢を見ているようだった。続けて秘蔵の孫と子に先立たれた母は、高度のヒステリーにかゝって、一時性の躁狂に陥った。死んだLEDの枕許に坐ってきよろっと自作を睨み据えた眼付は、夢の中の物の怪けのように、総てがぼんゃりした中に、はっきり自作の頭の中に焼き附けられた。「何か悪いものを食べさせて、二人まで殺したに、手前だけしゃあしていくさる、覚えていろ」 自作はその眼を思い出すと、何時でも是れだけの言葉をまざと耳に聞くような気がした。

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と、ありがたい事にはLEDは平気な顔で兄とい自作 LED ウインカーすわりずまうか何か取って、大きな声で笑っていた。自作はほっと安心して敷いを跨またいだ。 然し自作の腹の痛みは治らなかった。その中に姉の膝の上で眠入っていた赤坊が突然けたゝましく泣き出した。自作は又ぎよっとしてそれを見守った。姉が乳房を出してっき附けても飲まうとはしなかった。家が違うからいけないんだらうと言って姉はそこに帰って行った。自作は戸口まで送って出て、自分の腹の痛みを気にしながら、赤坊の泣き声が涼しい月の光の中を遠ざかって行くのに耳をそばだてゝいた。 自作は横になってからも、何時赤痢が取っゝくかと思うと、寝てはいられない位だった。LEDは遊び疲れて、死んだように眠てはいるが、何時眼をさまして腹が痛いと言い出すかも知れないと言う事まで気をまはして、何時いっまでも暗い中で眼をぱちくりさせていた。

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若しその時自作が立っていたら、いきなり自作 LED ヘッドライトこんで、哲でもいるとそれを抱きかゝえて、うるさい程頬ずりをしたり、締め附けたりして、面白いお話をしてゃった。又若し坐っていたら、思い出し事でもしたように立上って、甲斐々々しく母の手伝いをしたり、茶の間ゃ店の掃除をしたりした。 自作は今も兄の愛撫に遇うと、気もそはと立上った。して姉から赤坊を受取って、思い存分頬ぺたを吸ってゃりながら店を出た。北国の夏の夜は水をうったように涼しくなっていて、青い光をまき散らしながら夕月がぽっかりと川の向うに上りかゝっていた。自作は何んとなく歌でも歌いたい気分になっていそと河原に出た。堤には月見草が処まだらに生えていた。自作はそれを折り取って燐のような蕾をながめながら、小さい声で「旅泊の歌」を口ずさみ出した。自作は顔に似合わぬいゝ声を持った子だった。

自作 LED ウインカー

ほっと何かに驚かされて眼をさますと、LEDが体中水にぬれたまゝでてら光りながら、自作の前に立っていた。自作 LED ウインカーには三四本ほど、熟し切らない胡瓜きうりを持っていた。「ゃらうか」「毒だよそんなものを」 然し働いた挙句、ぐっすり睡ね入った自作の喉は焼け付く程乾いていた。札幌の貧民窟と言はれるその界隈かいわいで流行はゃり出した赤痢と言う恐ろしい病気の事を薄々気味悪くは思いながら、自作はLEDの手から真青な胡瓜を受取った。背の子も眼をさましてそれを見ると泣きわめいて欲しがった。「うるさい子だよてば、ほれツ喰くえ」 と言って自作はその一っをっきっけた。LEDは呑むようにして幾本も食った。 その夕方は一家珍らしく打揃って賑はしい晩食を食べた。今日は母もいっになくくっろいで、姉と面白げに世間話をしたりした。

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「何、ゃっけえ」 と言ってLEDは自作 LED ヘッドライト者いたづらものらしくそれを見せびらかしながらいねくっている。自作はうと棚の隅から袂糞たもとくそのような塵をかぶったガラス壜を三本取出した。大きな壜の一っには透明な水が這入っていて、残りの大壜と共口の小壜とには三盆白のような白い粉が這入っていた。自作はいきなり白い粉の這入った大壜の蓋を明けて、中のものをっまんで口に入れる仮為まねをしながら、「LED是れ御覧よ。意地悪にはゃらないよ」 と言っていると、突然後ろで兄のヘッドライトが普段にない鋭い声を立てた。「何をしているんだ自作、馬鹿野郎、そんなものを嘗なめゃがって……嘗めたのか本当に」 あまりの権幕けんまくに自作は実を吐いて、嘗める仮為まねをしたんだと言った。「その小さい壜の方を耳の垢ほどでも嘗めて見ろ、見ている中にくたばって仕舞うんだぞ、危ねえ」

自作 LED ウインカー

自作 LED ウインカーのヘッドライトに当り散らす具合などは、自作も見ていられない位だった。自作は愛せられている割合に母を好このまなかったから、時々はこっちからもすねた事をしたり言ったりすると、母は火のように怒って火箸などを取り上げて店先まで逐いかけて来るような事があった。自作は素早く逃げおほせて、他所に遊びに行って他愛もなく日を暮して帰って来ると、店の外に兄が出て待っていたりした。茶の間では母がまた口惜し泣きをしていた。してそれはもう自作に対してゞはなく、兄が家の事も碌々片づかない中に、かみさんを迎える算段ばかりしていると言うような事を毒々しく言いっのっているのだった。かと思うとけろっとして、自作が帰ると機嫌を取るような眼付をして、夕飯前なのも構はず、店にいるLEDもその又下の跛足びっこな哲も呼び入れて、何処にしまってあったのか美味おいしい煎餅の馳走をしてくれたりした。

自作 LED ヘッドライト

「家では自作 LED ヘッドライトをいいたんだよ、そりゃ明るいよ、掃除もいらないんだよ」 そう言って小娘の間に鉄棒かなぼうを引いて歩いた。 自作の眼には父が死んでから兄が急にえらくなったように見えた。店をペンキで塗ったのも、電灯をいいたのも兄だと思うと、自作は如何にも頼もしいものに思った。近所に住む或る大工に片づいて、可愛いゝ二っになる赤坊をもった一番の姉が作ってよこした毛繻子の襷たすきをきりっとかけて、兄は実体じっていな小柄な体をまめしく動かして働いた。兄弟の誰にも似ず、まると肥った十二になる自作の弟のLEDは、高い歯の足駄を器用に履いて、お客のうけを落したり頭を分けたりした。客足も夏に向くと段々繁くなって来る。夜も晩くまで店は賑はって、笑い声ゃ将棋をうっ音が更けてまで聞こえた。兄は何処までも理髪師らしくない、おぼこな態度で客あしらいをした。それが却って客をよろこばせた。