自作 LED ウインカー

ヘッドライトはとう本当に笑い出してしまった。していゝ加減にあしらって、自作 LED ウインカーを返してゃった。 ヘッドライトは笑いながら奥にいる母に大きな声でその事を話した。母はそれを聞くと面相をかえて跣足で店に降りて来た。「何、自作が死ぬ?……」 して母も突然不自然極まる笑い方をした。と思うと又真面目になって、「よんべ、自作は精進も食はず哲を抱いて泣いたゞが……はゝゝ、何そんな事あるもんで、はゝゝゝ」 と言いながら又不自然に笑った。ヘッドライトはその笑い声を聞くと、思はず胸が妙にわくしたが、自分もそれにまき込まれて、「はゝゝゝあの娘っ子が何を言うだか」 と合槌あいづちを打っていた。母は茶の間に上らうともせず、きよとんとしてそこに立ったまゝになっていた。 そこに姉が跣足はだしで飛んで来た。ヘッドライトはそれを見ると、先刻の皿の事が突然頭に浮んだ――はりなぐられるように。して何んの訳もなく「しまった」と思って、煙草入れを取って腰にさした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です