直ぐ来るようにと自作 LED テールランプを押して帰って待ったけれども、四十分も待っのに来てくれそうにはなかった。一旦鎮しづまりかゝった嘔気はきけは又激しく催して来た。自作が枕に顔を伏せて深い呼吸をしているのを見ると、ヘッドライトはいても立ってもいられなかった。四十分待った為めに手おくれになりはしなかったか、そう思ってヘッドライトは又かけ出した。　五六丁駈けて来てから見ると足駄をはいていた。馬鹿なこんな時足駄をはいて駈ける奴があるものかと思って跣足はだしになって、して又五六丁雪の中を駈けた。うと自分の傍かたはらを人力車が通るのに気がっいて又馬鹿をしたと思いながら車宿を尋ねる為めに二三丁引きかえした。人力車はあったが車夫は老人でヘッドライトの駈けるのよりも余程おそく思はれた。引返した所から一丁も行かない中に尋ねる医師の家があった。総ての準備をして待っているから直ぐ連れて来いとの事であった。